自分史

臨床心理学との出会い

宇宙からの閃きを受け取った私は、早速、書店に行きました。

そこで、エーリッヒフロムの「自由からの逃走」(1941)という本に出会います。

そのなかで、現代人は自由を獲得したが、自由のもたらす

孤独感に耐え切れず、逆に力強く自分を導く権威への

服従を求めると分析していました。

書籍の中の終盤の文章を引用します。

“人間がこんにち苦しんでいるのは

貧困よりも、むしろかれが大きな機械の歯車、

自動人形になってしまったという事実、

かれの生活が空虚になりその意味を失ってしまったという事実である”

『自由からの逃走』p302

この本を読んでから

真の自由に興味が湧きました。

信じられるものは何か?真の自由とはなにか?

私は、それは、自分自身の心の中にあるものだと無意識に確信していました。

それでは、自分自身の心とは?

この自分の中の内なる自分を知るための旅が始まりました。

25年以上前になるでしょうか・・・

当時は、企業の自己啓発セミナーや集団洗脳という言葉が

聞かれるようになっており、社会人が、古典的な正統派の

臨床心理学を学べる場所が少なく、しかもインターネットも

ありません。とにかく、毎日のように書店に行き、情報を

探しました。そんな中で、母の知人の心理学の先生に教えて頂き

新宿にある住友ビルの上にある朝日カルチャーセンターで

学べるとの情報を頂きました。

今、考えると、本当に恵まれていましたが、当時の臨床心理学の講座は

もはや、カルチャーの域を超えた専門的なものばかりであり

講師の先生も、日本の臨床心理学の礎を築いた方々ばかりでした。

ここで、先ずは、臨床心理学の古典である

フロイト、ユング、ロジャース、エリクソンなどを学び、

交流分析、行動療法、森田療法、ゲシュタルト療法等の

技術を6年間に渡り学びました。

その後、上智大学の心理学科の小川捷之先生が主催する臨床心理学基礎と

上級コースを2年間受講しました。

ちょうど、その頃、阪神淡路大震災があり、現地にボランティアに通われていた

小川 捷之先生でしたが、臨床心理学コース卒業後には、お目にかかることなく

ご逝去されました。

若くして、この世を去った小川先生ですが、先生の主宰されていた

山王教育研究所は、関東のユング派の拠点であり

後に私もそちらで箱庭療法を学ばせて頂くこととなります。

小川先生の言葉は今でも忘れられません。

「私は、対人恐怖症です。こうして、皆さんの前で講義をしている今も

手が震えています。自分のことを治すために臨床心理学を学びました。」

カウンセラーもクライアントも同じ人間である。

自分が、クライアントを癒すのではない。

暗闇のトンネルの中で、クライアントの未来を誰よりも信じ

灯りを灯し、共に歩いていくことだということを学ばせて頂きました。