自分史

私が仕事をやめるまで

前回、私が20代の頃に、営業トップになったお話をしました。

私は、そのあとも、私は順調に売り上げを伸ばし続け

入社二年目にして、優秀社員賞を頂き、ハワイの5つ星ホテルの

旅行をプレゼントしてもらい、順調な日々を送っていました。

そんなある日、男の子と、その母親が来店しました。

入ってくるなり、男の子は「学習机を探しに来ました」と

嬉しそうに言いました。私は丁寧に机の説明をしていきましたが

長く使えるということで、一番シンプルな木の机に決まりました。

そして、お支払いの段階となり、私はクレジットカードを受け取り

住所と自宅の地図を書いて頂きました。男の子は本当に嬉しそうに

自宅の場所を説明してくれました。

そして、嬉しそうに帰る二人をお見送りし、とてもよい気分でした。

1時間ほどして、カード会社から連絡が入りました。

先ほどのお客様の件でした。

カードはブラックリストになっていて使用できませんでした。

私は、その瞬間、喜んでいた男の子の顔が浮かび

なんとかならないかを考えました。

お店が机を購入して、分割で支払ってもらうことはできないのか?

何度も何度も上司に相談しましたが、無理でした。

私は、仕方なく、お客様に電話をしました。

すると、あっさり

「ああそうですか、じゃあいらないです」と電話を切りました。

私は、しばらく行き場のない感情に呆然としていました。

会社にいくら貢献しても、私は歯車の一つに過ぎない。

貧困に直面している人を救えない無力さを感じました。

次第に、数字を追う生活の中で体調を壊しました。

子供の時から辛いことがあると絵画を見て育った私は

休みを取り、美術館巡りをしました。

そんな時、ある言葉が閃きとして天から下りてきました。

「アートは心理学である」

その瞬間、私の中の眠っていたものが、目を覚ましました。

人の心もアートのように自由であっていい。

常識や非常識の枠を超えて未来を創造していいんだ。

魂の覚醒に導くことができる心の専門家になろう。

そう決めてから直ぐに、私は、会社を退職しました。