自分史

安い傘立てを買いに来たお客様が20万円の羽毛布団を買って帰るからくり

大学を卒業した私は、大手のインテリアの会社に就職しました。最初に営業の方法を学んで、顧客への電話や接客方法などを学んでからは、早いうちにショールームで販売の業務をすることになりました。

大学時代にファッション雑貨店でアルバイトをしており、私が入る日には売り上げが高いことから、その店の店長に社員として来てくれないかと言われたこともあった私は、モノを売ることが得意な方でした。

しかし、婚礼や新築の人生の節目に家具を求めてくるお客様に対しての販売は、なかなか緊張するものがありましたが、少しすると本来の個性を発揮しました。

私は新人であったため、傘立てや学習机など、比較的低価格のものを探しに来られたお客様の担当につけられることが多かったのです。ちょうど、その当時、羽毛布団が日本に入ってきたばかりでしたので、クロージングの最後には、ご案内するようにとの店長の指示がありました。世の中の人は羽毛布団の存在は知っていても、一部のお金持ちの贅沢品というイメージが強かったため、なかなか買う方はいらっしゃいませんでした。しかし、何故か、私のお客様だけは、ご案内すると羽毛布団をお買い求め頂けるんです。しかも、家族の人数分!当時は、羽毛布団が1枚20万円近くしていましたが、3年間の無金利のクレジット払いでお買い求めいただきました。

何故、私が羽毛布団を売れるのか、当時、ベテランの営業マンの方々は私の営業を隠れて近くで聞いているということもありました。私は決して羽毛布団を売りつけた訳ではなく、お客様への丁寧な接客と問題解決そして、クロージングまでに私という人間を知って頂き、信頼をして頂いた上で、私が惚れ込んでいる商品のご紹介と、それを使って変化する未来のお話をさせて頂きました。

目の前の人を幸せにする、全力で。これだけで、どんどん紹介の方が増えていき、いつのまにか、ショールームでは、売り上げナンバーワンとなり、新人にして全店トップ3となる前代未聞の“伝説の営業”の称号を頂くこととなりました。

今、思えば、この頃から、私は目の前の人の求めるものがわかるチャネリング能力があったのかもしれません。宇宙から降ってくる言葉が次から次に出てくる感覚を明確に意識した時期でもありました。